レポート > 演劇・映画 > あまりの腰痛でぶっちゃけお芝居の感想になってないのが申し訳ない話

あまりの腰痛でぶっちゃけお芝居の感想になってないのが申し訳ない話

あるひさんがまたお芝居に出演するというので観に行ってきた。この前のはコメディだったが、今回は毛色が違うという。

確かにかなり違った。あるひさんがこういう役をやるのも珍しかったんじゃないかしら。

会場は三鷹駅の目の前。駅前のカフェで時間調整も兼ねて軽食をとる。PassMarketのQRチケットで入場。

「星守りのスラム」
2021/5/30 13:00〜 武蔵野芸能劇場 小劇場
総合演出: 加賀真也
脚本: 速巳剛誌 尾﨑雅之
制作: Asia Xeed
製作・著作: K-FRONT
キャスト:
宮原華音
宮林実加 / 橘あるひ
綾垣静 / 徳島千恵 / 岩田地世 / 熊本弥文 / たもとまい / 榎堀まや
好沢はる美 / 星野クニ / 小田切沙織
中井勝信
前田優 / 北村丈 / 葛山陽平 / 遠藤翔平 / 大友義喜 / 佐久間涼二
みなもとらい
藤村忠生
吉沢明歩
Story:
ゴミの街、『バスーラ』
絶えず煙と異臭が立ちこめるその町では
支配する暴君と住民たちとの戦いが続いていた。
壮絶な過去から生き延びたひとりの女性
彼女の元に現れたひとりの逃亡者、そして…
過酷な運命に翻弄される女たちが、終わらない戦いに挑む。
星が見下ろすスラムで、それぞれが思い至る結末とは。

入ったら空席はもう半分程度で、後方寄りの方が早く埋まっていたので、あまり行かない前方、四列目へ着座した。その時点で前方は空いていたが、後から来た人が座り、それが軒並み座高の高い方(なぜ中央前方にはいつも無遠慮なのばかりが座るのか)だったので舞台中央は視界が塞がれるいつもどおりのパターン。例えば明転して最初のシーン、舞台中央にしゃがんでいる役者の姿は服の裾すらいっさい見えなかった。ホントに席運悪過ぎ(苦笑)

先に言っちゃうと、この会場の椅子も僕的には最悪の部類で、腿と肩甲骨下あたりが支点になって腰にまったく重心が乗らず、中盤を過ぎたあたりから意識の三割くらいは「腰が痛い…」って感じだった。

隣はといえば、左はカップルの男性が落ちつきなくギシギシと椅子を揺らし、右はスマホの電源切らずに上演中もバイブという。

閑話休題。

ストーリーは、某アジアの近未来が舞台。ディストピア的なゴミの街での、住人たちと支配者層の闘争で、立体的な舞台を使った派手な戦闘アクションシーンが多く、役者の演技も強い感じが多かった。

元々は一年前に上演する予定だったのが、コロナの影響で伸びたっていう。

はじまりのシーンから感じたのは、けっこう叫んだりする演出が多くて、それは役者の色じゃなく演出側のなんだろうと。味方側戦闘員タイプ4人もみんながみんなストレートに感情を出してて性格にも殺陣にもあまり差異がないし、悪役側ナンバー2の所謂インテリヤクザ的なキャラクターも冷静さとは遠い激高で部下を叱責する。

それってもしかして、当初は「大声を出すことそのものがコロナ禍から取り戻した日常の演出」だったのかしら、それが一年たってもまだ取り戻せていないからの違和感かしら、なんて思ったりもした。終演後のあいさつにもあったように、これをコロナ禍、宣言中にやるべきかは悩むだろうなあと。例えばこれがコロナ後だったら特別な感慨をもたらしたかもしれないが。

だからまだ、客席へ向けて絶叫するなんてシーンは、感情の何割かの冷静な部分が「こんな大声で叫んじゃって前列の方の客はどう思ってるんだろ」なんて余計なことも考えたり(ちなみに最前列は空席にしてました)。

ある意味大味に感じさせる演技のなかで、逆に役者のスキル差がはっきりしてしまっていた部分もあった。医者役や無口な役がかえって好感してしまったのは皮肉だなと。ディストピア世界でのポジティブな出来事は、観客視点では素直に受け入れ難いものもあって、それはシニカルに受け止めて笑うべきなの?って戸惑いも。

あるひさんは「囚われの姫君」的な役で、歌うシーンもあってなかなかよかった。吉沢明歩さんは舞台出演が初だったそう。キャリア自体はあるせいか、そうは見えない堂々とした演技だった。

1時間50分にやや詰め込みすぎた感じはあって、終盤の各登場人物に用意した見せ場は転換が多過ぎに感じた。ただでさえ腰痛で意識が散漫だったんで、誰が死んで誰が生き残ったんだっけ?てな具合。

ストーリーそのものはエンタメ感があって楽しめた。宮原さん筆頭にアクションもキレがあってよかった。演出はもっとジメジメした方が好きっていう感じかな。

次に観る機会では、最後列で伸び伸びと観たいなと思いました。ホント腰痛い…。