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初めてのぐりむの法則は自分のなかでの解釈になかなか苦心してしまった話

ぐりむさんの演劇はどこかで聞いた覚えがあって、もともと興味があったんだけど、もうそこそこの間応援してる大和田紗希さんが出演するというので。

ぐりむの法則 paradigm shift.1】怖いぐりむ第2弾
『カナリアイロニカル』/『カメレオンラプソディー』
2018/4/5 テアトルBONBON
作・演出 えのもとぐりむ
出演
『カナリアイロニカル』
SHOGO(175R) / 上野なつひ / 安達健太郎 / 清水一希 / 水原ゆき / 柴小聖 / 塚本英亜 / 山本涼平 / 渡部将之(円盤ライダー)
『カメレオンラプソディー』
松田大輔(東京ダイナマイト) / カジ / 堤裕樹 / 堀丞 / 天野美咲 / 廣瀬菜都美 / 瀬戸梓友 / 大和田紗希 / 内田菜々 / 宮内慧人 / イマニヤスヒサ

2本立てを同日で一気に。

顔合わせや本読み、稽古やゲネまで客を入れてやるっていう実験的な企画だったのだけど、その日が平日だったりで行けたのは、本公演を除くと、最初の『ビフォートークイベント』だけだった。このときはまさにビフォー、まだ台本完成前だったり、ほとんど顔合わせみたいな状態の役者さんたちだったりで、そういう空気感、これから始まるよっていう落ち着かないワクワク感を感じられただけでもよかった。MC役のイマニさんが本編の出演を突如打診されてその場でマネージャーに電話したり、役者さんたちでほんの短いお芝居をアドリブでしたり、サービス精神旺盛すぎてかなり楽しかった。

大和田さんが出演するのは2作のうち1作だけだったんだけど、どちらも観ることにしたのはそこがあったせいも。日をずらそうか迷ったけど、同日に一気に観ることにした。

劇場に着いたものの、なかなか開場しない。それは別にいいんだけど、直前に劇場内でトイレ済まそうと思ってたからそこだけ辛かった(笑)

カンフェティで『おまかせ』で買った席は、どっちも前寄り通路沿いのよい席だった。前寄り数列はイスが低く、そのせいで足を伸ばせなかったので、体重を点で支えてしまうから上演時間のわりにおしりが痛かった。見やすさとのトレードオフ。

13時から『カメレオンラプソディー』。

親父の葬儀に集まった家族の話。妻の死をきっかけに失踪した長男・元(はじめ)が、父の死を知り帰ってくる。同伴した恋人、置き去りにされていた息子、彼を実の息子同然に育ててきた弟夫婦らとのドタバタを、ちょっとシュールに描くコメディ。

カメレオンは、変わりたいと願う元の心情であったり、引きこもりの隣人・ジャクソンそのものであったり。

事前に公開された台本を後から読んだ感想では、わりとさっぱりした台本に、実際の演技ではかなり肉付けされたコメディ部分があって、それって演者や演出家が稽古のなかで(またはアドリブで)付け足していった部分が多いのだろうなと。主演の松田さんはじめコメディ畑の方がいたからこそなんだろうなあと。

大和田紗希さんは、兄を許していない弟をなだめる妻の役。ブス選手権では出場した4選手のうち、2人いる美人側の一人。いえ、4人ともキレイだと思いましたけど! 美人揃えてブス云々って、せめてブスメイクくらいしましょうよ、って不満だったのはそこと、客席最前列にいた悪い風体のゲラがジャマだったことくらいだな(笑)

昔から東京ダイナマイト(特に松田さん)が好きだったんで、生で観られるあの感じがかなり楽しかった(大好きなネタは「ボケとエクササイズ」です!)。ぐりむさんの書いた至極詩的なセリフを、あの松田さんの口調の感じで聞くのは、本当によかった。ぐっときた。

この日の回の後には、カメレオンの出演者全員でのアフタートークがあって、役者間の関係性も含め楽しく。

一旦駅まで戻り、マックで休憩。再び劇場へ来ると大和田さんが待っててくれて(?)、ちょっとのお話と、扱い購入特典のお手紙を頂いた。せっかく会えたんだけど、次の時間もあったので早々に場内へ。今度の機会に感想言いますね(ここで書け)。

16時から『カナリアイロニカル』。

妻殺しの夫とその娘、夫の服役していた牢の看守、ジャーナリスト。「かなりアイロニカル」「カナリア色に狩る」のダブルミーニング。

心の病にかかっている妻を、そんな妻を愛する夫が絞殺するシーンから始まる。収監された夫と、そんな夫と似た境遇にある看守との意味深な会話。釈放後失踪した夫、一人残された娘、看守に頼まれて取材を始めるジャーナリスト。

終劇からとくに何もなくアナウンスだけの、たまにある「(このまま帰らされるの…)」って感覚がもうたまんないの。中野駅までの道を歩きながら「(今、自分がどんな顔してるだろう)」って考えちゃうような。毒気抜かれたような、妙につるっとした表情じゃないかしらって。いろんな感情が交錯して収集つかないような。

帰りの電車でパンフレット読んで、雑然とした対談の内容に、ちょっと現実に引き戻されるような。

どちらもかなり濃かった。ちゃんと書こうと思ったわりに感想が淡泊なのは、未だにちょっとこう、言葉で表現するのが難しいから。それと役者個々についてつらつら書くのも憚られる気分。作品として評価するのがふさわしいんじゃないかっていう。

楽しかったです。これまた「楽しかった」って表現がふさわしいのかわかんないけど。広い意味での楽しかった。