年末恒例、ハーベスト冬の特別公演の観劇は3年連続。毎回チャレンジングな内容だけど、今回は『落語』。
劇団ハーベスト 冬の特別公演
『この泥棒ネコッ!〜お後がよろしくないようで〜』
2017/12/27 夜の部 19:00〜 アトリエファンファーレ高円寺
脚本:益永あずみ
演出:中村公平(劇団レトロノート)
出演:宮武佳央、加藤梨里香、篠崎新菜、川畑光瑠、葛岡有
イイ感じの声の出演:マツモトクラブ
あくまでも落語は本筋においてはツールの一つで、お話のメインは女子の友人関係のドタバタを描いたコメディ。思いのほか楽しめてしまった。
少し時間があったので、高円寺駅北口から少しの銭湯『小杉湯』へ寄ってみた。売りのミルク風呂にも浸かって、体ポカポカで劇場へ。
チケットもぎりは望月瑠菜さん。入ると複数メンバーがお出迎え。黒子の中身もメンバーだったし、山本萌花さんはなんと照明をやってたらしい。劇団ハーベストはメンバーが裏方もやる。メンバーだけじゃないな。物販補助は益永さんだし、公平さんも場内でスタッフしてた。
またまた酷い席運。後から来たタテヨコデカ男が目の前の席に座っちゃった。見上げる角度の舞台だったからまだよかったけど。救いは上手側だったおかげで、舞台への演者の出入り口が正面、うまい具合に頭と頭の間から見えたことだった。「ピポパポピッ!」回想シーンは間近で観れたし。
会場内には、いつもいる「笑いのツボが浅過ぎ男」もキッチリいた。その笑い声が前物販中に聞こえてきてすぐわかっちゃった。アイツ公演毎に全部来てるの?
そうそう。席に置いてあったフライヤー、公演日毎のオリジナルだった。出演者5人のうち3人がシャッフルキャストなんだけど、ちゃんとこの日の出演者バージョン。そういう細かい芸って好き。
そのフライヤーの隅に、別日の配役が書いてあったんだけど、
癇癪持ちの幸子…宮武佳央、高橋紗良、山本萌花
ぶりっ子の美久…加藤梨里香、弓木菜生、望月瑠菜
シニカルな絵里…広瀬咲楽、篠崎新菜、井上結愛
たしかに納得。それぞれのキャストで三つのうちどれかな?って考えたら全部そこだよねって。
開演までの時間は、キャストによる物販トーク(?)があるから暇しないのが助かる。
登場人物は、会社の余興でコントをすることになったらしい3人と、その次の出番で落語を披露する1人、そして落語大好き〝楽女〟の仲居さん。回想シーンには憧れの男性社員(声だけ)。3人の揉め事に2人が巻き込まれる形で進行していく。
ガチャガチャ空回りしながら振り回されるのは宮武さんらしさ全開。この公演のプロデューサーでもあって、お芝居の全体を見回してる感覚もあったのかしら、存在感がそういう空気を出してた。松永さんが抜けた穴を埋める一人なのかなと。
加藤さんは、アフタートークでも言ってたけどなんか楽しそう。イジワルな女役って、演じてて楽しそうだよね。これまでは自然にモテる役ばかりだったので、モテようと努力する役って珍しいのだとか。わりとすごい発言。
僕がハーベストを観始めたのは第7回公演からで、結成1年で退団した篠崎新菜さんのことはまったく初見。ルックスからはどういうキャラなのかちょっと想像しにくかったんだけど、上から目線で台詞を言うとこの自然さとか、ちょっとスカした雰囲気を出すのが上手なのかな。
シングルキャストの2人は、キャラ出てたねー。
仲居さん役の川畑さん。弾けたのって一年前の冬公演だったはず。この一年はずっとその勢いで走ってた気がする。ポジティブ独走突っ走りキャラ。初めて観たときはこんな子じゃなかったのに(笑) もう演じてるときのヤバい顔のイメージが先行するようになってきた。
あーさま役の葛岡さんも、弾けた一人だったと思う。天然ちゃん役だったけど、何かこう、素のまんまなんじゃねえの?って思わせるあの感じ。赤塚不二夫のマンガに出てきそう。見た目はかわいい系で愛されキャラっぽいんだけど、中身はぜんぜん違うんだろうな…。
ちょいちょいある落語ネタは、会場の反応はもう一つな気がした。落語家の名前や演目でのネタに反応が薄い。僕ぐらいの知識でも「わかってる方」くらいな感じ。落語ブームってもオッサンたちには届いてないのか。でもそれを置いても、短い時間(70分くらい)に楽しさを詰め込んでて、満足でした。
劇団ハーベストは「できるだけ行こう」としてたことが逆に重く感じてたのか、そんなにわくわくしてなかったんだけど、観たらすごくわくわくしてしまった。何ていうかこの空気、楽しかった。メンバーと舞台以外での接点がほぼない(配信とかはあるけどそういう部分は補完されない)のがどっちつかずの距離感になってる気がしてたんだけど、実はちょうどいい距離感なのかも。
また行こう。