〽トザイ、トーザイ~。
劇団ハーベスト第10回公演
『真っ向ガール』
2016/8/4 19:00〜 中野ザ・ポケット
脚本 田中大祐(気晴らしBOYZ)
演出 中村公平(劇団レトロノート)
出演 加藤梨里香 / 山本萌花 / 高橋紗良 / 広瀬咲楽 / 松永ミチル / 望月瑠菜 / 宮武佳央 / 川畑光瑠 / 葛岡有 / 弓木菜生 / 青山美郷 / 井上結愛
錦織純平 / たむらがはく / 前澤航也 / 錦織聡 / 縣佑芽 / ヒロキチ / ROLLY
いわゆるガールズ演劇って、その質において振り幅が大きくて、お目当ての子の演技云々以前にお芝居全体として「ううむ」と思うことも正直あるんだけど。劇団ハーベストは演劇メインだしゲストも毎回いいし、ベースの部分で安心して楽しませてもらえるっていう、僕のなかでの信頼感はけっこう高い。
第10回公演『真っ向ガール』は、JKチャンバラエンターテイメント。ここ数公演はアクション要素を強めてきてるけど、その延長として、いよいよアクションをメインの公演にしてきた。テンションはコメディで、真剣さよりも楽しさを重視するような作風。
一部の役がダブルキャストだったんで、最近お気に入りの川畑光瑠さんが出てる方を選択。でも逆組の二人も黒子として出演あったからよかった。ちなみに布施さん、久保田さんは今回の出演なし。
会場は中野ザ・ポケット。席はD列、段差のない前4列の4列目(笑) 次の列からは高くなってて「うわーまたかよー」って思ったものの、ステージ上が立体感あるおかげで見づらさはぜんぜんなかった。演出は正面から観るのを意識して奥行きも使ってたから、中列中央あたりが一番よさそうで、端からだとちょっと見切れるとこもあった。まあよい。
ハーベスト恒例、キャストによる会場での開演前手売りは(後物販でも買えるから)いつもは急がないんだけど、今回は何となく買ってみた。川畑光瑠さんからっていうのが偶然にしてはできすぎてるー。
拍子木鳴らす黒子から諸注意があり、開演。
夏休みでやることのない田舎の女子高生たちが、なぜか殺陣に打ち込むというお話。リア充の同級生を羨み、賞品のバリ旅行に釣られるというさもしい目的のために、かつて時代劇にも出演してた着ぐるみアクターの力を借りて、町のお祭りのコンテストに参加する。剣道部内の諍いや、団地妻のアイドルとの交流も絡めた、よくよく考えればかなりぶっ飛んだ内容(パンフレット中の松永Pメモと合致!)。
でも終わってみると、なんかかっこいいのよ。
チャンバラシーンがけっこうあるんだけど、出演者でもあるヒロキチさんの殺陣は好みな感じ。剣戟の合間に入る回し蹴りのタイミングやモーションが特に好き。段差のあるステージも動きに立体感を与えて、わくわくさせてくれた。
キャスティングは、これまで観てきた数公演に準じるような、それぞれの個性に合った役。
主演の加藤梨里香さん。どちらかというと優等生的なキャラだと思うんだけど、ここではおバカ色が強めで、そういうおバカな子がかっこよく決めるのはギャップ萌え。でもパンフレットの対談を読むと、狙いはもっともっとおバカ全開みたいな気もする。もう一、二枚ぶち破れる余力があるような気もする。
殺陣の部分でいえば、やっぱり山本萌花さん。安定してかっこいいよね。それとこういうこまっしゃくれたキャラも彼女らしさ。一年間の留学中では不在になると思うんだけど、それは残念な気持ちとともに、ハーベストにあって「逆張りの役」をすることが多い彼女の立ち位置を埋めるのはいったい誰なんだろうかと楽しみでもある。
二人とともに主役グループを成すのが広瀬咲楽さんと松永ミチルさん。ひろさらさん、今回は茶目っ気の部分はそんなに出さず、真面目そう→あんまし言わないけど芯ありそうっていう持ち味。松永さんは本公演のプロデューサーだったんだけど、役ではクセの強いヲタっぽい子。ハイテンションのときの突き抜けっぷり。
彼女たちの同級生「リア充」グループには望月瑠菜さん、川畑光瑠さん、弓木菜生さん。すっかりギャルポジションが板についてきた望月さん、ここ数公演で何かが弾けてしまった川畑さん、いい意味でいい加減そうな弓木さんのトリオはなかなかチャラくてよかった。…当初抱いてたイメージとはだいぶかけ離れてきてるけど(笑) 象徴的なのはなんといっても沖縄帰りのトーストっぷり(笑)
新加入組である井上結愛さん、葛岡有さん。二人とも伸びしろの分だけ成長が目立ってた。井上さんは青山美郷さんとの二人芝居のシーンが多くて、常に飄々と自然体が漂う青山さんとの〝対峙〟はプレッシャーだったろうけど、いじらしい雰囲気の後輩がよく出てたと思う。本来出番はない葛岡さんは、同じく宮武佳央さんと二人で黒子としての出演。長々と口上があって、実はこっちの役割の方が緊張しそう。
錦織純平さん、『MIRACLE8』での冴えない中年役がすごく好きだったんだけど、今回の役はそれプラスかっこよさが香るという。好きだなあ。ROLLYさんの〝団妻〟はものすごい存在感で、ステージ中央で注視を浴びるサマのかっこいいこと。声量もさすが。生ギターに合わせた殺陣は臨場感に溢れて、アドリブっぽさの味付けは笑いを誘った。
途中、なぜかちょっと涙でた。別に泣かせるシーンじゃないのに。なんかね。何度も観てるから成長とか出来ることの幅の広がりとかそういうのがぐっと来ちゃうんだろうね。特に今回は殺陣の部分でかっこええなあと思うことが多くて、感慨深かったのがそのせいかも。
やっぱりハーベスト好きだな。次回も楽しみにしております。