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初舞台の場としてはとても理想的な、若い演技が映えるお芝居の話

モデル活動中に何度か撮影したことのある小町雪さんの初出演舞台を観劇してきた。

coconkukanunity vol.11「無重力、な、わたし、」
2021/10/30 14:00〜 池袋シアターグリーン BOX in BOX THEATER
企画・製作 coconkukanunity
脚本・演出 木村克幸
舞台監督 松井カズユキ
キャスト 古野美優 / 小町雪 / 東条澪 / 青矢修 / ゆでちぃ子。 / 上野陽立 / 市瀬美和 / 安井秀和 / 宮後真美 / 渡邉秀夫 / 谷澤翼

たまたま一週間前に雑司が谷の撮影スタジオを使ったばかりで、そのとき行ったカフェに寄ろうかとも思ったんだけど、時間が微妙だったんで池袋駅から途中にあるBROOKLYN MILLSでチーズバーガー。

BOX in BOX THEATERはいつ以来かしら。コロナ禍で演劇鑑賞はなかなか出来なくなってたけど、この日の客席はマスク必須とはいえ「一席空け」とかもなく、ずいぶん日常へ近寄ってきた感じがした。

映画製作する若者たちと見守る大人のお話。どういうストーリーなのかは説明できるんだけど、そこに流れる空気感みたいな部分がなかなか説明しづらい。でもそこがこのお芝居の肝なんで、すごく感想文にはしづらい。若者らしい純粋さの良い部分と、過ち・後悔の部分の表現がなかなかに繊細で、若い演者の素の部分と合わさって。鑑賞者としては年齢的に感情移入するんじゃなく、それを見守る大人目線になっちゃってて、だからこその切なさとか母性父性とかそういう。でも終演後は清々しい気分もあるっていう。

演出は小劇場舞台らしいそれで、演者は常に板の上。控えで引っ込むのではなく、舞台袖の観客から見える位置に待機する。板に上がる、降りるの表現でスイッチのオン・オフも演技の一つという。雪さんだけでなく初演の役者が何人かいたっていうことで、初舞台でこういう演出を味わえるっていうのは「羨ましいなあ」と思った。

演じる部分では「映画に撮られる役者」を演じるシーンで「下手な演技をする」とか、そのへんはどこまで演出なんだろうとか余計なことも思った。下手を演じるのって難しいんじゃないかしらって。でも普通に演じて下手に見えちゃってるならそれもまたどうなのかしらとか。そういう行ったり来たり。

雪さんは自身なさげな女の子を演じてたけど、わりと本人に重なる部分がありそうとか、身長があってそういう役は逆にいいよねとか。セリフは自然体で感情もよく表現できてたと思う。

市瀬さんは何年か前に某所で写真撮ったことがあったんだけど、演じるのを観たのは初めて。当時も表現するっていう雰囲気が強かったんで違和感なしというか、これまた自然体で生き生きしてた。上野さんはどこかで見覚えがあると思ったら、去年夏の『花瓶の中の海』にも出演してて、やっぱり勘違いじゃなかったなと。

終演後は面会なし。コロナ禍ではそりゃそうなんだけど、こういう余韻の残るお芝居の後で見知った演者とわちゃわちゃするのもちょっと苦手なんで、それはむしろ好都合だった気がした。代わりに撮影タイムが用意されてて、スマホで撮影。

劇場での観劇はやっぱり楽しい。以前みたいになるのはもうちょっと先だろうけど、こうやって上演されてるなら応援したい気持ち。