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周りの若い観客たちほどには無慈悲に笑えなかった話

きっかけは、劇団ハーベストの公演を観に行ったときのフライヤー。ハーベスト所属の宮武佳央さんが出演するっていうんで入ってたんだけど、やっぱりタイトルのインパクトっすよねえ。3年ぶりの再演なのだそうだけど、3年前には幸いにも(?)僕の耳にはたぶん入ってきてなかったみたい。調べてみると、意外に真面目な演劇そう。

最近のハーベストには感じるところが多くて、メンバーが客演する舞台も観ておきたいなあというのがあったし。

佐藤佐吉演劇賞 年間最多6部門受賞作品
表現の自由よりも大切なこと、あるいは無害な芸術の話
「ロリコンのすべて」
2018/8/15日(水) 19:30~ 下北沢ザ・スズナリ
主宰 ナイスストーカー
作・演出 イトウシンタロウ
出演 帯金ゆかり / フジタマコト / 藤本紗也香 / 山本光 / 佛淵和哉
白勢未生(箱庭円舞曲) / 南米仁 / 善雄善雄(ゴジゲン) / 宮武佳央(劇団ハーベスト)

行くって決めて、カンフェティでチケットを予約。その時点では最前列ベンチシートも残席あったけど、後ろの観客の視界を妨げることに対して過剰反応してしまう僕には到底ムリ。普通の席を買った。

「下北沢はお芝居を観に行く町」っていうくらいの感覚になってて、着いても食事くらいであんまりウロウロしない。時間になって劇場へ。もう開場してたけど、劇場前にはふんわり人々がいる。連れでも待ってるのかしら。

階段を上がるとすぐ受付。学生ふうの若いお客さんが多い。物販で何も見ずに「パンフレットください」と言ったら、あやしげな小冊子をくれた。ははん、こういう感じの劇団ね。

席は下手寄りの真ん中へん。やはり客層は若い。座席は窮屈で、後から来た人へは立って譲らないといけないくらいなんだけど、後から来るのは何故かガタイがいいのな。

お話は…ロリコンを語るならまあこういう話だよなあという。教師が幼い教え子の少女に云々というのがベース。参考引用としてナボコフの『ロリータ』を挙げてるんだけど、そういう要素を近未来SF的なのへ落とし込んでる。テイストはコメディ。

コメディの部分は楽しめた。大概の観客の受けもよかったと思う。なんにも考えなければ。

ステロタイプな「ロリコン」の捉え方、昭和のオカマみたいにバカにして笑っていいモノとして最初から最後まで扱ってるのが気にかかった。笑いの根っ子は終始そこだったから、逆に声を上げて笑ってる若い観客の他愛のなさみたいなものに「いいの?」って困惑したり。

受賞歴を掲げてるから、もっとテーマをちゃんと扱ってるのではっていう期待は、さらっと裏切られた。真面目に演劇してるけど、扱い方は軽くて雑。終盤の盛り上がりのなかでも、常に小ネタをツッコミ続けた脚本とか。特に最後なんかね。それはちょっとないなあ。

宮武さんはこれまで絶対やらない感じで、SMA主宰なら絶対やらせないよなあという。表現の幅っていう意味ではこういうのやっても役者なら全然OKだよ。

演劇中演劇の込み入った感じとか、演じる役者とか、おもしろかった部分はちゃんとおもしろかった。おもしろかったとは思うけど、期待しすぎて失敗した感じ。

ほら、僕あ根がマジメっすから。