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黄昏るアラフォーの話

ここんとこいろいろで、筆無精がいつになく深行してたから、ちょっと軌道修正。書いてなかったものを思い出し、思い出し書いてみる。

10月5日は、劇団レトロノート公演『黄昏バックオーライ』を観劇してきた。劇団結成15周年&深沢邦之座長生誕50周年。初見ですけど。

劇団レトロノート
「黄昏バックオーライ I’m waiting for you」
2016/10/5 19:30 中野ザ・ポケット
戯曲 小林佐千絵
演出 中村公平
出演 深沢邦之 / 碓井将仁 / 中村公平 / 川本成 / 錦織純平 / 中下元貴 / 祁答院雄貴 / 望月瑠菜 / 広瀬咲楽 / 棚橋幸代 / 長谷川紀子

なんで劇団レトロノートかっていうと、これはもうハッキリと代表の中村公平さん、劇団ハーベスト繋がりなわけです。そのハーベストからも望月瑠菜さん、広瀬咲楽さんが出演。そしてやっぱりハーベストの公演でお馴染の錦織純平さんも出演。そして、

片田舎の自動車整備工場で働く40歳ちょい手前の独身男達。毎晩「独身の会」と銘打って、飲んではくだをまく、変わらない日々を送っていた。 しかしある日、独身の会の一人が「俺!結婚する!」と突然の宣言…。
生まれた町。幼なじみ。揺れるすすきの波。遠くお囃子の声。
ぽつぽつ灯る電灯。高鳴る胸、にじむ手のひらの汗。だから僕は!!
人生折り返しの黄昏時、一歩前に進むためにバックオーライしたい大人たちの喜劇。

たぶん、すごく好きなお話だろうと期待させたんで。

会場は中野ザ・ポケット。

チケットはネットで予約購入。ブロック指定で買ったらなんとA列、つまり最前列という。お芝居を最前列で観たのってホント1、2回しかなくて、どっちかっていうと遠慮して避けちゃうから、開演前から落ち着かない(笑)

んで実際、すごく好きな空気感でした。

40前の仲のいいおっさん達の、あけっぴろげすぎるくらいにあけっぴろげな人間関係とか。それをとりまく穏やかな空気とか。劇中あった「後ろにはキラキラしたものがいっぱいあって、前にはキラキラしたものがあんまりない」という感覚と、それを享受して諦めを漂わせつつの雰囲気。他人のために生きてるのを由とする感じとか。

そのなかにあって、広瀬さん演じる娘や、祁答院雄貴(“け”の字は旧字体)さん演じる一人若い従業員を、適度に子ども扱いしつつ一人の大人として受け入れる信頼感みたいな部分とか。田舎にある小さな会社、やさしい共同体の。社長役の深沢さんの出す空気もあるんだろうね。

純平さんイジられ役はやっぱり何度観ても楽しい。祁答院さんもまた違ったイジられ役で、こちらは気取った感じがおかしくて、それでもイジられ続けながらもキレたりはせずに受け入れてて(むしろ美味しいと思っていそうで)、そういうのがこのファミリーの仲のよさみたいなものを暗に現してもいたのかも。悪役を作らないコメディらしさっていうか。

望月さんは一人二役。回想としてのもう死んでしまった40男たちのマドンナ・星野と、現在ではその子にそっくりな女の子・奈美江ちゃん。どちらかといえば星野役は望月さんらしさのうちの強い男勝りな面、奈美江役はフェミニンな面を出してたのだと思うけど、どちらも彼女がときおりみせるSっ気がよいスパイスになってて、かなりよかった。

広瀬さんはアーティストを目指す社長の娘役。少年みたいな悪ガキの雰囲気で、おっさんたちと友だちか兄妹みたいに振る舞うのが清々しい。劇中には川本さんのギターと合わせて歌を披露する場面もあって、それまでの頭悪そうな子からガラッと空気を変えてみせた。すごく得した気分。

楽観的な悟と悲観的な直樹の対立は、明らかに悟寄りで観てたので、僕はまるで楽観的なのだなあと改めて確認した。

お話は、トラブルもありながら、締め方としてもその雰囲気のままに乾杯! 自己肯定感を抱けるほっとした気持ちなのでした。

特設サイトには出演者のプリフィールがあって、マウスカーソルを合わせると「バックオーライ!」してる写真に変わるのだけど。それみてたら劇中のキャラクターにけっこう相通ずるイメージがあって、キャスティングよかったんだなあと改めて。

うーむ。思い出し思い出しで書くとやっぱり散漫だわー。すいませんー。