上野桜木・市田邸は「国登録有形文化財建造物」っていうすごい古民家なんだけど、そこを劇場としてお芝居するわけです。同じさんらん主催で僕は二度目。
前来たときは「撮影したいなあ」の印象が強かったんだけど、そのときのお芝居が心地よかったせいか、今回は「またいいお芝居観れたらいいな」であって、撮影云々の気持ちはそういえばなかった(今書いてて気づいた)。

さんらん第21回公演「ゴン太のクリスマス」
2025年11月27日 19:00〜 上野桜木・市田邸
作・演出 尾崎太郎(さんらん)
出演
ゴン太 … 小黒こまち
おじさん … 渡辺恒
狸 … 戸田雅城
河童 … 高矢蒼士
死神 … 久保宏貴
駒子 … 國玉咲笑
前回は昼だったけど、今回は夜。前回と同じ、上野駅から歩く途中の上島珈琲店でBLT。途中で雨がパラついたけど、上演中は大丈夫だったんでよかった。

古民家の縁側に面したひと部屋をそのまま使ったワンシチュエーション。小学5年生・ゴン太少年のクリスマスまでの数日間を描く。
小黒こまちさん演じるゴン太は小学5年生。チェック柄のネルシャツにカーゴパンツっていう出で立ちがこの日の僕の服装とまるかぶりで参った。小学生かよ……(笑)
ちょっとおかしな家族模様を描いてるんだけど、彼らのその外面はへんにベタベタしてもなく、日常にあるようなぶっきらぼうさとか反発心とかそういうのがありつつも、常に思いやりに包まれてるのが透けてみえる感じに、こっちもやさしくなっちゃう。ゴン太はその中心で、小学生の男の子らしい野蛮さとやさしさが共存してて、こういう「まっすぐな少年の物語」は弱いジャンルなの。涙腺的に。案の定。
家族愛もそう。これまた家族愛に恵まれない人生なんで。血の繋がりのない父親である「おじさん」との、表面上は反発し合いながらも滲み出てしまう情愛が、やっぱり涙腺的にクる。
狸と河童の化け物が日常に馴染んでるのが不思議でおもしろかった。子どもだけに見えるとかそういう特殊な設定もなく、ホントにただそこに自然にいるっていう。神通力とか尻子玉とかもごくフツーに。そういうのを「そうなんだ」って受け入れて観る。
家族で卓を囲んでトランプに興じるシーンは、なんてことないのをある意味ダラダラと続けるんだけど、そういうとこの姿勢とか態度とかにもキャラを感じさせる、散らかったカードを片づけるときの所作とか。プレゼントの包み紙を解くの、小学生ならビリビリッとやるのを予想したらすごく丁寧に折りたたんでて、それってくれた相手への敬意なのかしら?とか。
唐突に始まるアクションシーン。炸裂する必殺技。死神がまったく中間管理職の色で、笑わない事務的な表情なんだけど、どこかユーモラス。着てるスーツの柄は死者を連れて行くっていうより連れて行かれそう。

おじさんも駒子先生も奥の部分ですごくやさしくてそれがいじらしい。
前の「お針子マーチ」でもあった古民家っていう舞台装置を活かした演出もよかった。客席からちょっと見づらい庭もてらいなく使うし、隣や奥の部屋からは音が漏れ聞こえる。見えないものを観客に想像させる。最後のシーンはとくにガツンときた。
終演後はささやかに面会の時間もあったんだけど、こういうののあとはいつも以上にヘンな感情に包まれてるんでこっそり逃げ出そうとしたんだけど、こまっちゃんに目ざとく見つかってしまった。それでもあいさつそこそこにこそこそ退出。愛想なくてホント申し訳ない。お芝居すごくよかったです。

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