クルド問題に絡めたお芝居っていうのだけ事前に知ってて、かなり構えて観に行ったのよね。ワードとしてニュースとかでも聞くし、SNSでの炎上ネタだったりもするし。
さんらん第19回公演『レストラン・エスペランサ」
2024/12/6 19:00〜 アトリエ第Q藝術
作・演出 尾崎太郎(さんらん)
出演 小黒こまち / 野口聡人 / 瀬田ひろ美 / 高矢蒼士 / 貴田由佳子 / 今泉玲奈 / 安齋真緒莉 / 渡辺恒 / 若林正 / 石川新也 / 佐藤慶太 / 阿部知佳
でも実際にはコメディタッチの作品で、お話もすんなり入ってきて、たいへん楽しかった。お芝居っていろいろあって気持ちも上がったり下がったりするものだけど、終劇後の余韻はとても爽やか。こういうのって珍しい。
こまっちゃんには「ヒロインだよ!」とは聞いてたけど、出演者リストで一番上っていうのは、実際目にするとテンション上がっちゃう。ヒロインっつっても深窓の御令嬢とかではなく、流行らないレストランのウェイトレス。
諸々あってピンチのレストランに、密入国のクルド人・ジャミルが(文字通り)流れ着くところから始まる。カレーしか作れない新人コックだけだったのが、コックだった彼のクルド料理との合せ技で流行りの店に。でも彼は生き別れの妹を探していて……。入管の人や在日クルド人との関わり。惹かれ合うコックとウェイトレス。
ヒロインだけにこまっちゃんは出番も多い。河原で石を投げながらの「バカヤロー!」はその言い方とかピッチングフォームとかもキャラの雰囲気出してて、いじらしさとか世話好きとかそれが故に巻き込まれちゃう感じとか。
ジャミルさんらクルド人のカタコト日本語が、彼らの置かれる苦しい立場をいっそう強調したりとか、難しい語り口もないし詩的要素が強いわけでもない平易な言葉でも感情がよく伝わってとてもよかった。
コメディといいながらテーマがテーマなので全体的に重い空気がまとわりついてたりもするなかで、歌とダンスのシーンがあってめちゃくちゃ癒やされた。後ろのコーラス隊がとてもよい!
冒頭で書いたように終わり方もとてもよくて、だから終演後の面会時間もいつもより気持ちが軽かった。劇場を出た庭のとこで立ち話だったのもよけいにそう感じたのでした。
ありがとうございました