レポート > 演劇・映画 > その世でスラップスティックな走馬燈の話

その世でスラップスティックな走馬燈の話

お芝居を観に行くのは「推し役者が出演するから」が一番の理由だけど、劇団への信頼もモチベになる。その点、fukui劇は好みだっていう安心感。

三栄町LIVE × fukui劇 vol.16
『バックヤードライナー -その世の中へ-』
2024年8月15日 19:30〜 三栄町LIVE STAGE
脚本・演出 福井しゅんや
キャスト
Aキャスト:
小鷹尚大 / 小関美穂 / 鈴木美玖 / 夏目萌加 / 九島勇
シングルキャスト:
三谷洸貴 / 嶋本よしこ / 宮崎鷹 / 須田悠太 / 永井杏奈 / 北田なつき / 橋本果音 / 星見奈佳

当日は仕事終わりにそのまま向かった。最寄りの四谷三丁目駅から歩き、劇場すぐ手前にあるコーヒー店「丸橋珈琲」さんで時間調整。ずっと気になってたものの日曜日が定休日ってことで合わず、この日が初めて。安くてびっくりした。また来よう。

開場時刻にはもう数人が並んでたものの、席は最前が取れた。もちろん端の方。

過去に上演された『エンドロールライナー』の後日譚で、あの世とこの世の間にある「その世」が舞台。バスのエンドロールライナーが乗客を連れて行くのは演劇集団の元。成仏できない彼らに偽の走馬燈を見せて、いい感じに成仏してもらうっていう話。死を迎え成仏できない面々のお話でもあり、その世の住人の話でもあり、そのお互いの交流の話でもある。

設定のバカバカしさもコメディ色を強化してるけど、その一枚向こう側には悲しさも流れてて、笑って泣ける「なんかいい話」になってた。ただのいい話じゃないのは入りやすくてとてもいいな。

『走馬燈』はホントの意味の走馬燈じゃなく、地縛霊一歩手前の彼らをスッキリさせるためのスラップスティックで荒唐無稽なコメディ。たぶんなんにも考えずにみてるだけで楽しい。三栄町LIVE STAGEは小さなステージだけど、目一杯広く使う(笑)

小関美穂さんはバスガイドのテンコ役。出番は多く、己がわかってない主人公・旅路の案内役で、ストーリーテラー的な面も。チャキチャキしてハイテンションで、女の子っぽさもあるなかなか魅力的な役。

それぞれの客に走馬燈を見せていくなかで、最後に見せるそれがすごくリリックで普遍的、すごく感情移入してしまった。いつもお芝居観て泣くときとはちょっと違った、気づいたら泣いてるみたいな感覚が新鮮だった。

終演後は役者さんとの面会時間もあったんだけど、いちおう目が合って会釈しつつ、やっぱり苦手なんで隙を見つけて退出した。

また次を楽しみにしてます(これ書いてる現在、次のお芝居も観てるんだけど)。