バーで朗読会。
この前の『お誕生日会』は、撮影会の部に行ったけど、ホントのお誕生日会的な意味でいう部には行けなかったのね。そこでは朗読会をやったらしくて、残念だった。
で、今回のは直球の『朗読会』っていう。
年度末とかの時期的なアレで、行けるかどうかわかんなかったんで事前予約はせず、当日行けることになってふらっと行ってみた。恵比寿駅西口すぐの、派手な黄色いビルの3階。
店内は狭いけどちゃんとBar。入場料+1ドリンクは、もちろんお酒をいただく。ん? 他のお客はコーラとかなの? 話し相手になってくれそうな人をざっと見回したんだけど、常連と店員がしゃべってるほかは、みんな下向いてスマホいじってる…。
ステージは店の奥側がそういうしつらえで、ステージと客席という隔てでもなく椅子が置かれてる。僕はあんまり近いと逆に集中できないだろうと、後ろの方へ。席はいわゆるバーっぽさの、高くて小さい椅子。足もぶらぶら。これで長時間は辛そうだなーと。3時間くらいあるって聞いてたんで。
時間になって、暗転。
『星の王子さま』は、有名な話だし、エピソード的なのはいくつか——物語然り、作者然り——知ってるけど、ちゃんと通しでがっつりは知らない。そういう意味でも楽しみだった。
あづちゃんが「ぼく」を、あゆちゃんが「王子さま」をメインの配役に、並んだ椅子に腰掛けた二人が、本を手に繰りながら朗読していく。
本職声優のあづちゃんはさすがの体で、声色もそうだし、語り口調も滑舌も聞きやすくて、TVで耳にするナレーションみたいに、自然すぎて気づかないくらいに自然。本人のキャラクターが消えて、声の部分が別の人格みたいになるのね。「ぼく」の青年らしさと、「花」の少女っぽさの違い。
あゆちゃんは、クルパの牛呂もそうだったけど、裏表のない少年(的)役にぴったりの声。王子さまの子どもっぽさの部分、子どもっぽさゆえの、その意味にハッとさせるセリフ。
訳詞らしい文語っぽい表現とか、平易さに紛れる難解さの表現とか、そういうものも楽しみながら、童話としての星の王子さまを楽しむ。
80分の前半が終わり、休憩&チェキタイム。
トークっていうより、チェキ撮る→サイン書くで大部分になるのは、ホントの意味の休憩になったから逆に助かった。この時点で腰から下はもうガチガチ。
そして後半70分。
物語に入り込んでく過程で、いつもの、入り込んでく自分ともう一人やけに冷静で俯瞰してる自分が現れた。心が揺れてる脇で、『遅れて来てチェキでさんざはしゃいで後半○てたスーツのやつ』をケトバしてやろうかと考えたりする。
読んでいくのが、二人がめくる本の残りページの厚みでわかる。だんだん進んでいって、ページがなくなっていくのが見えてて、あ、もうすぐ終わっちゃうんだなあと、もっとこうやって二人の声を聞いていたいなあ、とか考えてた。僕の痛くなったおしりを除いては。
最後は「ぼく」にすっかり感情移入して、はらはらと泣いて、終演。
終演後は何もないのでさっと帰る。泣いてるの知られるのアレだったから、さっと。
すごくよかった。お話自体のおもしろさももちろんあるんだけど、だからって部屋でひとりで読んで泣くかっていったらたぶん泣かない。それは読み手のスキル、読み聞かせる演技の賜物なんだろうなって思う。
そして朗読は、視覚のない部分を僕のいいように想像できるから、ハマるとそれはもうすごくいい方向へ行ってしまうので。砂漠の砂の様子とか、キツネと話す情景とか花壇とか、みんな好き勝手に想像して楽しんでしまったので。
19時スタートの3時間は、帰宅時間的にちょいキツく、翌日は腰痛にも悩まされた。でも行った甲斐ありました。